『JUST KEEP BUYING』を57歳元SEが解剖|すべての名著が一本の線でつながる「ただ買い続けろ」という必然

目次

この記事で分かること

  • 57歳・元システム責任者が、資産形成についてたどり着いた「最終結論」であるニック・マジューリ著『JUST KEEP BUYING』の中身
  • なぜ「ただ買い続けろ」というシンプルな結論に、これまで紹介してきた投資・心理学の名著すべてが収束するのか
  • 理論(『敗者のゲーム』『インデックス投資は勝者のゲーム』『ファイナンシャル理論全史』)と、心理(『サイコロジー・オブ・マネー』『行動経済学が最強の学問である』)が、どう組み合わさって一つの実践に落とし込まれるのか
  • このシリーズをどの順番で読んでも、最終的にはすべてが一本の線としてつながるという読み方の指針

この記事を書いている人

  • SEとして中規模システム開発会社に5年勤務、私立大学のシステム管理部門に25年在籍し、後半は部門責任者を務める
  • 2026年1月1日、57歳で個人事業主として開業。退職金の多くをインデックスファンドに投じ、現在+20%ほどの運用益を維持

導入:「裏技があるはずだ」という発想が、粉砕された

2026年、長年勤めた組織を離れ、57歳にして個人事業主としてのサバイバルを開始した私。私生活では、まとまった退職金の多くを『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』などのインデックスファンドに投入し、幸いにも現在は+20%ほどの運用益を維持しています。

システムエンジニアとして30年以上、数々の複雑なアルゴリズムや仕様書と向き合ってきた私は、投資を始めるときも「何か裏技があるのではないか」「最も効率よく利益を掠め取れるタイミングがあるはずだ」と、最適解を探そうとしていました。

しかし、そんな私の「こざかしい計算」を圧倒的なデータで粉砕し、現在の私の投資スタイルの基幹プログラムとなってくれた一冊があります。それが、データサイエンティストのニック・マジューリ氏が著した『JUST KEEP BUYING』です。

本書が導き出した結論は、「四の五の言わずに、ただひたすら市場を買い続けろ」という、拍子抜けするほどシンプルなものです。しかし、これまでこのブログで読んできた数々の投資・心理学の名著を振り返ったとき、私は驚きました。このシンプルな言葉の背後には、それらすべての理論が一本の線のようにカチリとはまる、必然の合理性が隠されていたのです。今回は、なぜ『JUST KEEP BUYING』が資産形成の「最終結論」なのか、これまでの名著とのつながりから語り尽くします。

【理論の裏打ち】3冊の名著が証明する「タイミングを計る余地などない」という現実

本書の最大の見どころは、歴史データから「市場のタイミングを計ろうとする行為は、長期的にはリターンを押し下げるだけだ」と証明している点です。このデータの正しさは、これまで紹介してきた投資のクラシック(名著)たちによって裏打ちされています。

  • 『敗者のゲーム』:プロでも市場には勝てない。アマチュアが勝つ唯一の方法は「ミスをせず、ただコートに立ち続けること」
  • 『インデックス投資は勝者のゲーム』:余計な手数料(コスト)を徹底的に排除して市場全体を丸ごと買うことの優位性
  • 『ファイナンシャル理論全史』:「分散投資」の正しさが、数学と歴史によって積み重ねられてきた検証の結晶であること

これら3冊が示す理論を統合したとき、導き出される答えはひとつです。市場がいつ上がっていつ下がるかなど、人間には予測できません。ならば、今ある資金をすぐに市場に投入し、あとは市場全体の成長を信じて、ただひたすら居座り(買い続け)なさい、ということです。『JUST KEEP BUYING』は、この先人たちの理論を、最新のデータサイエンスで裏付け、具体的な行動指針として結晶化したものだと私は捉えています。

【心理の補強】2冊の名著が警告する「人間の脳のバグ」を封じ込める

どれほど理論が完璧でも、それを実行する人間に「感情のバグ」があればシステムは暴走します。ニック・マジューリ氏が「とにかく自動的に、淡々と買い続けろ」と強く主張する背景には、人間の認知バイアスに対する深い洞察があります。これは、心理・行動経済学の名著たちによって補強されています。

『サイコロジー・オブ・マネー』が示したように、投資の成敗を決めるのは知性ではなく「恐怖や欲といった感情の制御」です。また、『行動経済学が最強の学問である』が体系化した通り、人間の脳には「損の痛みを2倍に感じる(プロスペクト理論)」「将来の利益より目の前の誘惑を優先する(現在バイアス)」という、初期実装のバグがあります。

もし、「株価が下がったら買おう」「今は高いから待とう」と自分の意志を介入させたら、人間は感情のバグに負けやすくなります。暴落時には恐怖でパニック売りし、上昇時には強欲から高値掴みをする——これが典型的な失敗パターンです。だからこそ、自分の意志を極力介入させず、「ただ買い続ける」という自動実行の仕組み(定期積立)を組んで、脳のバグをあらかじめ封じ込めておく必要があるのです。

57歳独立の私が実践する、洗練された「メインループ」

私は現在、証券会社のシステムを利用して、クレジットカードでの自動積立を行っています。毎月、決まった日に、決まった額のインデックスファンドが、システム的に淡々と買い付けられていきます。株価が+20%まで高騰していようが、逆に明日10%暴落しようが、私の組んだ仕組みは一切の感情を持たずに、裏で淡々とこの処理を実行し続けます。

57歳という年齢になり、人生の「残り時間」の有限さをシビアに意識するからこそ、市場の小さな波に一喜一憂して現金を眠らせておく時間は惜しいと感じています。

『敗者のゲーム』の精神でコートに立ち続け、『インデックス投資は勝者のゲーム』の思想でコストを削り、『ファイナンシャル理論全史』の論理で分散し、『サイコロジー・オブ・マネー』と『行動経済学が最強の学問である』の知恵で己のバグを封じ込め、そして『JUST KEEP BUYING』の指針に従って、ただ買い続ける。

この一連の考え方が自分の中でつながっているからこそ、私は将来の経済的な不安をかなり軽減でき、個人事業主としての本業(Webメディア運営や動画制作)に、思考のリソースを集中させることができています。

このシリーズは、どの順番で読んでも一本の線につながる

ここまで、資産形成をテーマに複数の名著を紹介してきました。正直に言うと、この中で『ファイナンシャル理論全史』は、実務に直結しないぶん好みが分かれる一冊だと思います。万人向けとは言いません。それでも、ここに至るまでに読んでおいて損はない一冊だというのが私の実感です。理論の土台を知っているかどうかで、他の本の納得感がまるで変わってくるからです。

このシリーズは、必ずしも紹介した順番通りに読む必要はありません。心理面から入っても構いませんし、実務的な結論である本書から先に読んでも構いません。どの順番であっても、読み進めるうちにそれぞれの本の主張が、必ずどこかで別の本の主張と手を結び、最終的には一本の線としてつながっていくはずです。それこそが、この分野における「知の収束」の面白さだと感じています。

まとめ:すべての名著が、あなたに「ただ買い続けろ」と叫んでいる

投資の世界には、魅力的な言葉で読者を惑わすノイズがあふれています。しかし、それらの雑音をすべて削ぎ落とし、歴史、数学、心理学、そしてデータサイエンスを結集したときに残る、たった一つの結晶。それが「JUST KEEP BUYING(ただ買い続ける)」です。

もしあなたが、「次にどの銘柄を買えばいいのか」「暴落が来たらどうしよう」と悩んでいるなら、その思考のループを一度手放してみてください。やるべきことの多くは、すでに先人たちが検証してくれています。

賢く増やし、そして人生の終盤ではきちんと使い切る。そのための考え方の土台を、ぜひあなたの人生にも取り入れてみませんか。

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